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■ルーマニアへ演劇の旅へーシビウ国際演劇祭について


北陸の劇評編集部員がシビウ国際演劇祭とそのボランティアについてのお話を聞いてきましたので、北陸の皆様に簡単にシェアさせていただきます。


演劇ファンのみならず、ルーマニアの田舎町を世界各国の舞台芸術とともに楽しめる素敵なアートフェス。

観客として、また、ボランティアとしての参加も魅力的です。

 

<ヨーロッパ3大国際演劇祭の一つ、シビウ国際演劇祭とは>


今年6月、ルーマニアでヨーロッパ3大演劇祭の一つとされるこのシビウ演劇祭が開催されます。

これは、パフォーミングアーツが好きな人や東欧の街を楽しみたい人にとってはぜひ一度は訪れたいイベントです。

シビウというのはルーマニアの地方都市で、シビウ国際演劇祭は、この地方都市に一流の舞台芸術が世界から一堂に会し、街の狭いエリアで毎日ハイレベルなパフォーミングアーツが楽しめる夢のような期間です。

日本からも、中村勘三郎の平成中村座など、一流のアーティストたちが過去に参加しています。

レンガ色の屋根の古い建物が立ち並び、教会のある美しい街並みの中で、こういった芸術に触れることができるのはただ観光に訪れるのとは一味違った海外体験ができることでしょう。

開催期間中は朝から晩まで街の中で演劇やダンス、サーカス、朗読劇、そのほかアートインスタレーションやコンサート、演劇に関わるトークやワークショップが開催される。

この演劇祭が始まったのは26年前。それ以来毎年開催され、小さな学生演劇祭が今では世界3大演劇祭の一つに数えられるまでに成長したそうです。

初日と最終日には大きな花火が打ち上げられ、街の人々にとっても年に一回の大きなお祭りとなっています。

と言っても、敷居の高い劇場に高いチケット代を払って見るわけではなく、質の高い作品を手の届く値段で見ることができるのがこの演劇祭。

例えばこの演劇祭の代名詞とも言える、ルーマニアの演出家による「ファウスト」という作品は、日本円にして1500円程度のチケット代で見ることができ、かつて参加したピナバウシュの作品を自国で見るより安いという理由でドイツから訪れた観客もいたそう。

Venueと呼ばれる会場が街の各地にあり、それは劇場だけでなく、学校の体育館、教会、工場、軍の施設なども含まれ、また、公園などの屋外会場もあります。

ちなみに前述の「ファウスト」は廃工場で上演されました。

街全体がアートに包まれ、国内外の参加者や観客たちでにぎやかになり、また、公式プログラムとは別に、ショッピングセンターで大道芸が始まるなど、いつものシビウよりもお祭りムードがあるようです。

一般的にアートフェスの中には主催側の選考によるものではなく、希望者によるイベントに付随した上演(フリンジなど)が行われることもありますが、シビウでは演劇祭の作品の質を保つためにそういった公演はありません。演劇祭に関連する作品として質の良くないものを見たお客さんは2度と戻ってこないという考えの元そうされているそうです。

プログラムの質が3大演劇祭の一つに数えられる理由の一つかもしれません。



 

<ルーマニア、シビウでの生活についてー暮らしやすい街>


シビウは安全で治安が良く、また、物価も安く、生活しやすいのですが、生活水準は日本よりも低く、日本と比べると不便に感じることもあるようです。

演劇祭シーズンを狙ったスリなどがいる可能性があるため、財布や携帯電話などの電子機器など、海外で盗まれやすいものには気を付ける必要があります。

食文化は西と東の文化が入り混ざっており、日本にはない新しい味が楽しめそうです。

1食は約600円程度でしっかり食べられます。過去に参加した方は日本より格段に安いフルーツを買って、朝ごはんにしていたとか。

チップ制があり、レストランでは10%ほど払うのが普通で、ただ、サービスに満足しなければ払わなかったり、グループならまとめて払うなどすることもあるそう。

カードはVISA、MASTERがあると安心です。

<ボランティアについてー何をするの?英語は必要?>

海外体験やアーティストの息吹を身近に感じたい人、このシビウ国際演劇祭を肌で感じたい人にとっては、観客としてよりも深く演劇祭に関われるボランティアはまたとない機会です。

英語力がなくとも、熱意やそれに代わる何かがあればボランティアにぜひ応募するべきでしょう。

シビウの演劇祭は毎年日本から数団体参加していることもあり、日本人ボランティアが必要とされています。

そもそもこの演劇祭は主催側のスタッフは30名程度で、地域の高校生や仕事を休んで参加する街の人、各国からのメンバーを含めて500名ほどのボランティアで成り立っています。

そこには、必要なスタッフをお金を払って雇って解決するのではなく、ボランティアにもチャンスを与える、という考えがあります。

ボランティアの仕事は多岐に渡り、アテンドとしてカンパニーのお世話する担当者は、現地で劇場や宿泊先の案内、通訳業務など、カンパニーがシビウ入りしてから去るまで全てのサポート的業務を行います。

公演に関わるサポートでは、小屋入りからリハーサル、上演、バラシ、打ち上げに至るまで全て付きっ切りです。例えば、足りない小道具があった際の対応や、観客が上演中写真撮影をしないように注意を向けたり、記録写真を撮ったりなど、カンパニーがシビウでいいパフォーマンスができるようあらゆる手助けをします。

カンパニーによってボランティアの関わる度合いは異なるかと思いますが、これは、一流のアーティストの上演までの過程を全て身近に見られ、一員になった気分になれそうですね。

カンパニーにボランティアが数名、チーム体制で付き添い、ルーマニアの人とそれ以外の国の人で構成され、協力して仕事を行うため、外国語スキルに自信がない人は、チームメンバーの助けを得て活躍することも可能だそう。

カンパニーアテンド以外には、個人参加のアーティスト、VIPのアテンドの仕事もあり、VIPのアテンドの場合は上演がない分、彼らのシビウでの生活全般をお世話します。

アテンドスタッフのほか、ボランティアにはチケッティングと呼ばれる、会場入り口での受付業務や、記録用のビデオ撮影スタッフの仕事などもあります。

昨年のビデオチーム経験者の方にお話をうかがったところ、このイベントのために3ヶ月のトレーニングを受けた地元ルーマニアの高校生たちが撮影班に参加しており、彼らと仕事をしたとのこと。

撮影経験がない場合はすぐに現場に入って撮影というわけにはいかないけれど、覚えれば撮影の仕事をすることができます。

ボランティアで気をつけることとして、演劇祭のスケジュールが流動的なため、時間や場所などの変更がないかこまめに確認することが大事になるそうです。

ボランティアに興味のある人にとっては、どんな仕事があるのか、適性はあるのかなどが気になるところかと思いますが、「シビウ演劇祭のボランティアとしてこんなことをしたい!」という熱意が一番の適性だと話を聞いていて思いました。

 

関連ページ:ルーマニア・シビウ国際演劇祭、日本人ボランティア受付事務局のページ

https://www.facebook.com/sitfvolunteers/


シビウ国際演劇祭サイト

http://www.sibfest.ro/sibiu-international-theatre-festival.html

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